コラム「南風」 牧志スタイル


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 私たちが行う商店街活性化事業を私は「牧志スタイル」と名付け実行しています。自主財源や補助金を活用するにしても業者へ丸投げするのではなく、商業者が企画・運営を行い、時には商店街を出てボランティア活動までと多岐にわたります。

商業を営む自分たちの商店街なのですから当たり前といえば当たり前なのですが、実行するのが難しく険しい道のりでした。イベントを行うのは業者の仕事だという考えがありましたし、やりたいと思っている店主がいても個人商店なので、閉めてまではできなかったと思います。
 補助金がある時は業者を使っても行えるでしょう。ただ補助金が付かなければやれないという考えに陥っていくのです。だからこそ自分たちで考え、皆で失敗や反省を繰り返しながらやってきました。店を閉めても実働部隊は無報酬。イベントを行う度に私の考えに賛同し、商店街のために頑張ってくれる仲間たちに「自己犠牲を恐れるな」と檄(げき)を飛ばしながらも申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
 それでも経験していくためには乗り越えていかなければならなかったのです。商店街を使ったイベントは来場者の安心・安全を一番に考えながら会場に隣接する店舗への配慮を忘れてはいけません。大きな音を出す事もあるので近くの店はお客さまとの会話や電話の声すら聞き取りにくくなる事もあります。だからこそ開催前に何度も足を運び説明してその日を迎えます。この配慮の大きさがイベント会社との一番の違いだと思います。
 トイレ・水道・電気を提供してくれる会場近くの店舗にはいつも感謝しています。陰で牧志スタイルを支える大切な協力者です。これらの経験が数年後、実を結び那覇市が公募する商店街活性化事業へも堂々と参加し、受託運営するまでになっていくのです。
(新里俊一(しんざととしかず)、一般社団法人なは市場振興会理事長)