コラム「南風」 和光青年会が教えてくれたこと


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 先日FM沖縄で「旧盆特別番組 チムBON!BON!エイサー」という番組を担当しました。
 番組前には各地へ取材に行き、エイサーについて勉強したのですが、中でも印象に残ったのが東京にある「和光青年会」に行った時のことです。

 新宿駅から電車で20分くらいのところに緑が豊かでかわいらしい家々が並ぶ経堂という地域があります。そこには「和光青年会」という沖縄の人が一人もいないエイサー団体があるのです。
 東京にある和光小学校では沖縄について学ぶ授業があり、20年以上前から学校行事でエイサーを踊っていたそうです。
 踊りも園田青年会から教えてもらい、その時から踊り続けている小学校のOBが大人になり和光青年会へと名称を変えました。
 大人になって離れ離れになっても、青年会のおかげで地元に帰ってこられるという話を聞き、驚きのうちに取材の時間は終わりました。
 帰り道に新宿まで送ってくれた和光青年会の副会長と、沖縄のことをいろいろと話しました。
 和光小学校を卒業した彼は現在神奈川の大学に通う4年生。ベンチャー企業に就職が決まり大学に通いながら既にその会社で働いています。仕事帰りでスーツを着た彼は、たくさんの話を聞かせてくれました。
 小学校の時の沖縄学習のおかげで、卒論のテーマを沖縄関連のことにするぐらい沖縄の魅力にとりつかれていること、夏休みには園田青年会のもとに足を運び、時間があるとレンタカーに乗って県内を回った話をしてくれました。
 エイサーがあるから、地元を離れても帰ってこられる場所がある。生まれ育った場所や環境が東京でも沖縄でも、さまざまなカタチで沖縄を思う気持ちに触れられた出来事でした。
(山田真理子、フリーアナウンサー)