コラム「南風」 学生の財布


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 学生の財布(収入)は大きく三つある。仕送り、アルバイト、奨学金である。本寮生の場合は、仕送り62・2%、アルバイト56・8%、奨学金同じく56・8%である。それぞれの平均額はおおむね4・1万円、4・2万円、7・1万円となっている。個々の学生はこの中の幾つかを合わせて月々の収入としている。ちなみに財布一つの学生46%、二つ32・4%、三つ21・6%であった。

 財布が増えると月の収入も多くなるが、これがそのまま学生の経済的ゆとりを意味するわけではない。親が直接負担する学費や寮費も合わせて考える必要がある。収入が多くても学生自らが学費や寮費を負担しているならばその学生の方がゆとりがないことになる。
 仕送り額が比較的少ないのは寮生活の影響と思われるが、注目したいのは奨学金を受けている学生の割合と金額の多さ(月10万を超える奨学金受給者も13・7%いる)である。県外進学には奨学金は必須と言っても過言ではない。制度の果たしている役割を高く評価はするものの課題も残る。仕送りもアルバイトも学生の負債として残ることはないが、奨学金だけは卒業後に負債として重くのしかかる。無利子にしろ有利子にしろ事情は変わらない。受益者負担の原則からやむを得ないと言えばそれまでである。
 しかし、将来が期待される若者に過大な借金を抱えさせたまま社会に送り出していいものだろうか。非正規雇用や就職先が見つからないという最悪の事態を考えるとなおさらである。
 国も県も給付型奨学金創設を検討するという報道があった。有識者の声のように、より多くの学生が支援を受けられる制度の実現を期待したいものである。県内外を問わず大学進学は家庭にも本人にも多大な経済的負担を伴う。このような世の中のありようこそ問題にしてほしいとも思う。
(大山清、沖縄県県外学生寮南灯寮寮監)