コラム「南風」 褒められること・認められること


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 那覇市が主催する「放課後子ども教室」というプログラムがあります。自治体や個人が主体となり、「小学生が放課後を利用して様々な経験ができる機会を増やそう」という考えの下、多彩な人がボランティアで小学生に教えるというものです。

 私はおもろまち自治会子ども会で週1回のダンス教室を開講しています。
 生徒の中に、問題ばかり起こす子がいました。叱っても聞く耳を持たず、共に運営する友人と頭を抱えていました。ある日、友人のお母さんに相談したところ、「褒めたらいいのよ」と一言アドバイスを頂きました。
 半信半疑のまま、翌週のレッスンではその子を叱ることを一切やめ、どんな些細(ささい)なことでも褒めるよう全力を注ぎました。すると、問題行動はピタッとなくなり、驚くべきことに、次の週のレッスンでは誰よりも早く教室にきて、レッスンの準備を手伝ってくれました。
 あれだけ悩まされていたことがあっさりと解決してしまったことに、友人と二人で目を丸くしたことを覚えています。
 人は「認められたい」という欲求があるそうです。認められると自信が持て、さらに認められようと行動します。褒めることこそ、「あなたがそれを行うことは良いことだ」と認めることになるのでしょう。
 現在行う保育園のレッスンでも、「褒める」ことは子どもたちの参加意欲を格段に高めてくれるように感じます。ちなみに私は文章を書くことに苦手意識を持っていましたが、多くの方にご指導いただき、励ましていただき、褒めていただいて、最近少しずつ自信を持てるようになりました。
 時には叱ることも必要かもしれませんが、これからも褒めることに力を注ぎ「褒め上手な先生」になりたいです。
(伊狩誓志、ストリートダンス講師)