コラム「南風」 「テレビに出てましたよね」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 「こないだテレビに出てましたよね」と声を掛けられることがあります。
 私は芸能人でもなく有名人でもありませんが、たまに沖縄のテレビ局のニュースに登場することがあります。というのも、私が担当している裁判や弁護士会での仕事に関係して記者会見をすることがあり、そのときにテレビ局が取材に来ることがあるからです。ただ、私の顔がテレビに出ているのは、大抵2~3秒くらいで、長くても10数秒です。ですから、私自身は、自分が登場したニュース番組を見逃してしまうこともあるくらいです。

 その程度しか出ていないのに、依頼者の方や仕事上の知り合いの方などから声を掛けていただけるのは、とてもうれしいことです。しかし、見ず知らずの方から急に声を掛けられるのは、うれしい半面、正直びっくりします。
 あるときは、通っているスポーツクラブで見ず知らずの方から声を掛けられました。あるときは、予約もせずに入った床屋でたまたま担当になった理容師の方から声を掛けられたこともあります。数秒しか出ていない、場合によっては私の名前すら表示されていないテレビの映像を見て、私が出ていたと分かることがそもそも驚きですし、また、その私を見掛けたときに「こないだテレビに出ていた人だ」と瞬時に見分けられる方がいる、というのも驚きです。
 私は、家ではボーッとしていることが多いので、テレビもボーッと観ています。ですから、私に声を掛けていただいた方と同じように、テレビに出ていた人のことを見分けられる自信は全くありません。
 イケメンとはいい難い私ですが、私の顔というのは自分が思っている以上にインパクトがあるということなのか、それとも、テレビの力がすごいということなのでしょうか。
(大井琢、弁護士)