コラム「南風」 防煙教育について


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 たばこの依存性はとても強く、一度中毒になってしまうとなかなかやめることができません。たばこのために学校に行けなくなってしまうケースもあるそうです。ある小学校6年生の女の子は家にあったたばこを吸うようになって、ニコチン中毒になってしまいました。修学旅行を目前にして、旅行の間たばこを吸えなくなるのが嫌だから修学旅行に行きたくないと言い出したそうです。

 幸い、その子はきちんと禁煙治療を受けて、無事に旅行に行くことができました。ただ、一度依存症になると、また再度喫煙してしまうというリスクを負います。ですから、中毒になる前に教育の力によって、ニコチン依存症になることを防ぐことがとても大切なのです。
 家庭内に喫煙者がいると、子どもの喫煙経験が増えることが分かっています。さらに子どものころに興味本位で少しでもたばこを吸った経験があると、将来喫煙習慣がつきやすいということも分かっています。逆に家庭内にたばこを持ち込まない、親が子どもにたばこの害を伝えることは、子どもの喫煙を防ぐ第一歩と言えます。
 防煙防止教育で大切なのは、たばこをやめることはとても難しいことなので、最初から吸わないことが大切、ということを伝えることです。たばこを吸う習慣がついてニコチン依存症になってしまった場合の大変さを伝えて、たばこを勧められても吸わないこと、ということを教えることで子どもたちの健康が守られると思います。小さな子どもには、「たばこいや!の絵本」(アーニ出版)のような絵本を読み聞かせるという方法もあります。
 たばこについての正しい知識を子どもたちに持たせることはとても大切なことです。ぜひ、子どもたちとたばこについて話し合ってみましょう。
(島袋史、ゆいクリニック院長産婦人科医)