コラム「南風」 5歳児保育パート1


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄では1歳から4歳までは保育園、5歳になったら幼稚園というのが慣例になっている。アメリカ統治下時代、幼稚園就園が義務教育化されたことがあり、公立の小学校に並置されているので、幼稚園は義務教育だと私も思っていた。

が、斎藤先生の保育に出会い、保護者が働いている5歳児は制度上保育園での保育が可能で、その方が情緒も安定しバランスよく育つことが分かった。しかも、最も成長の著しい0歳から5歳までの6年間、一貫した保育をすることが大切で、特に幼児期最後の満6歳を迎えた子どもたちは、それまでの5年間が土台となり、内に秘めている限りない可能性が見事に花開く飛躍の一年間なのだという。
 そのようなことをまったく知らなかったので、私の園は1歳から4歳までの保育園としてしか認可を受けていなかった。そこで1984年、役場に5歳児保育をしたいと相談に行った。が、保育園が5歳児保育をすると幼稚園が定員割れになるからと、即、却下されてしまった。次の年も時期尚早ということで受け付けてもらえなかった。他の市町村ではすんなり5歳児を措置してくれるのに、なぜ? ともどかしかった。斎藤先生の保育を既に実践している県内の保育園に、当時の助役を案内し、このようにたくましく優しく賢い子に育てたいのだ、と熱く訴えてもみた。が、行政の壁は厚かった。
 学べば学ぶほど5歳児保育を実施したいとの思いは募るばかりだった。その年の秋、私たちは保護者を集め5歳児保育への想(おも)いを伝えた。すると、4歳児クラス20人のうち11人が賛同し、残ってくれるという。嬉(うれ)しかった。私は早速、保育園の向かいに自費でプレハブの5歳児室を建てた。こうして85年春、自主運営という形ではあったが、ようやく念願の5歳児保育がスタートした。
(仲原りつ子、あおぞら保育園理事長・園長)