コラム「南風」 Kukuluは不登校児童の居場所


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 世の中にはいわゆる「不良」と呼ばれる子たちがいる。別名はヤンキーとか非行少年だが、彼らは学校以外の活動が忙しいため不登校になり、Kukuluに繋(つな)げられる。

 彼と初めてまともな会話をしたのは、ボウリング大会のとき。蹴ったらボールに穴が開くんじゃないかってぐらい、とんがった靴を履いていた。私はそれまでの人生の中で、不良さんと遊んだ経験がないもんで、彼とどうファーストコンタクトを取ればいいのか迷っていたし、ひきこもり系の児童は明らかにビビっていた。さてどうしよう…と焦り始めたその時!「次、カーブにする? シュートにする?」と、不良さんが色気たっぷりの流し目で話しかけてきたではないか! 私は一瞬で彼のファンになり、ファーストなんちゃらはどこへやら、それからは黄色い声援だ。
 その後の関わりの中で、彼の持つ大人や学校への不信感を共有し、信頼関係ができるようになると、彼はリーダーとして他児童を引っ張り、場を盛り上げ続けた。彼はまっすぐで、物事を深くよく考える子だったので、いろんな人や壁とぶつかるのだ。しかし、あなたは決して間違っていないということと、効率的な壁のクリア方法を一緒に考えられれば、これまた見事にベクトルは変化する。
 超短期間のがんばりで高校進学を果たした彼は、3月に中学を卒業することになった。とはいえ不良さんなので、みんなと一緒の卒業式ではなく、彼一人だけの校長室での卒業式。ここでもまたヤツはやってくれた。Kukuluへの感謝状を読み上げたのだ。それもあの色気たっぷりの流し目とニヒルな笑顔付きで! おかげで私の涙腺は崩壊、周りをドン引きさせることとなる。彼は卒業した今でも、時々ここへやってくる。私たちも彼を待っている。Kukuluはそういう場所だ。
(今木ともこ、NPO法人沖縄青少年自立援助センターちゅらゆいフードプロデューサー)