コラム「南風」 ギョーカイウォッチ(ナレーター篇)


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 「ナレーターって、どういう仕事(業界)なのかっていうのも読者にはおもしろいと思います」との声を頂いたので、そのあたりに触れてみようと思う。
 “ナレーター”とは、大雑把に説明すると、声の仕事を専門とするプロのこと。

テレビやラジオから聞こえる出演者や客以外の声、CMの時などに聞こえる声などが、簡単に耳にすることができる“ナレーター”の仕事ということになるだろう。
 この仕事をはじめておよそ6年。まだまだ経験は浅いが、そんな浅瀬から眺めて感じたことは、“ナレーター”にとって「才能」「技術」「運」は不可欠な要素だということ。「才能」とは、“聞こえの悪くない声”、「技術」とは“表現力”、「運」とは“出会い”ということになると思う。“ナレーション”(ナレーターが声を使って繰り出すいろいろなこと)は、伝わることが第一なので、声のコンディションはもちろん、まずは、ちゃんと発音されているかが重要。
 また、現場では、有名人でない限り個性は要求されない。「◯◯風にお願いします」と要求されるのがほとんど。要求されたニュアンスに、どれだけ寄せられる技術を持っているかが勝負となる。そうして声が吹き込まれた作品の評判が良ければ、やはり嬉(うれ)しいもので、そこが“ナレーター”のやりがいということになるのかもしれない。
 あとは、皆さんお待ちかねの“ギャラ”の話ということになるのだが、同じクライアント先でも、担当が変われば待遇も変わるもので、“妖怪のしわざ”としか思えないような出来事も少なくない。どこと仕事しているかより、誰と仕事をしているかが重要で、“出会い”という「運」のありがたさを痛感させられる。さらに詳細を書きたいところだが、今回はこれにて。
(知花悠介、ナレーター タレント)