コラム「南風」 感情表現、スッキリ爽快!


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 私が思うストリートダンスの楽しさは、なんといっても「感情移入」と「感情表現」にあります。映画館で映画を見ているうちに主人公の気持ちになってしまったことはありませんか。
 涙を流したり、思わず「よっしゃ!」と言ってしまったり(私はよく言っちゃいます)。映画が終わった後はスッキリした気分になります。この感覚は歌う時も同様です。

 カラオケで(もしくは車内やお風呂場で)大好きな歌を熱唱するとき、歌詞に合わせて過去の記憶がよみがえり、楽しくなったり、切なくなったりします。
 時には力強く、時には優しく歌い、曲が終わった後は心が晴れ晴れします。何かに感情移入して、沸き上がる心のモヤモヤやワクワクをさまざまな方法で外に出すと、爽快感を感じる事ができます。ダンスの場合は音楽に感情移入し、感じた事を体全体で表現することができます。
 「唐船ドーイ」に合わせてカチャーシーをするとき、もしくは「ミルクムナリ」に乗せてエイサーを踊るとき、そこで体感する喜びや、踊り終わった後の爽やかな気分はなんとも言えないものだと思います。
 ストリートダンスの場合、感じた気持ちを表現するための動きや技、ステップが数多くあります。ロボットのように動いたり、アクロバティックに動いたり、たくさんの踊り方がある分、技を組み合わせてその時に合った表現ができます。
 動作が日本人の生活になじみのないものもあり、いきなり好きなように踊れるわけではありません。
 しかし、「音楽を聴いて感じた気分を動きに乗せて楽しむ」ことを忘れなければ、覚えた言葉を駆使して夢中で喋る子どものように没頭でき、いつのまにか自由自在に体を操ることができます。それに合わせて音楽の感じ方に深みが出るようになります。
(伊狩誓志、ストリートダンス講師)