コラム「南風」 現代人は栄養失調!?


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 現代は飽食の時代と言われています。手軽な値段でおいしい物が簡単に食べられます。その結果として肥満が増加し、さまざまな生活習慣病の一因となっています。しかし、同時に現代人には栄養失調の人が少なくありません。「今どき栄養失調?」と驚かれる方もいるかもしれません。

 実はカロリーは十分だけど、カルシウムや鉄などのミネラルやビタミン、タンパク質が不足していることが多いのです。その原因としては、食事の偏りはもちろんですが、食品そのものの栄養価の低下もあると言われています。コンビニ弁当やファストフードはもちろんのこと、スーパーで売られている加工食品の中にも、製造過程においてビタミンやミネラルが溶け出してしまっている物も多いそうです。ビタミンやミネラルが不足すると、子どもでも集中力が低下しイライラしやすくなります。大人の慢性的な倦怠感(けんたい)や体調不良なども、栄養失調が関与している可能性があります。
 では、どういう食事を取ればいいのでしょう。地域で取れる旬の野菜は、新鮮で栄養価が高く最適です。人工調味料を使わず、素材から手作りした料理がお勧めです。しかし、毎食となるとちょっと大変ですよね。わが家では、煮干しと昆布とあご(トビウオ)を粉末にしたものをみそ汁のだしに使い、だし自体も取り除かずに食べています。これは「食事でかかる新型栄養失調」(三五館出版)という本で紹介されていた方法ですが、煮干しの頭やはらわたも一緒に摂ることでタンパク質、カルシウム、鉄分をいっぺんに摂(と)ることができます。魚の内臓には吸収の良いヘム鉄が含まれているので、わたを取り除かないことが大切です。多少苦みがありますが、慣れてくると気になりません。ミネラル豊富な食品摂取を心がけて、栄養失調に陥らないようにしましょう。
(島袋史、ゆいクリニック院長 産婦人科医)