コラム「南風」 植物に翔けた男たち-大林正宗と宮里清輝


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 東南植物楽園は台湾から移住してきた大林正宗が1968年に創業しました。81年には沖縄県内第1号の博物館相当施設に指定され、異国情緒あふれる熱帯系植物園として人気の観光施設となり、ピーク時には年間120万人以上の入場者数を記録しました。

 大林は83年に糸満市にサボテンなどを集めた「ひめゆりパーク」を開設しました。そこには台湾で9年かけて種から育成したバオバブの苗を植えていました。サン・テグジュペリの小説「星の王子様」で有名になったアフリカやマダガスカルに自生する巨木です。
 観光状況の変化などの影響を受け2010年12月に中断した東南植物楽園を引き継いでほしいと一昨年の冬に彼から直接依頼されました。旧「ひめゆりパーク」に残っているバオバブの行方を気にしていました。たくさんのバオバブの写真を見せ熱くその思いを語る彼に、東南植物楽園に戻るようにしますと約束しました。そのバオバブ20本が成長した姿で当園に移ってきました。74年に誕生した沖縄市と同じ40歳です。
 宮里清輝は、同じ沖縄市の街づくりに尽くしました。比屋根土地区画整理事業の理事長として街路樹にこだわり、香りのある樹木を多く配置するなどユニークな街を創りました。タピックの沖縄リハビリテーションセンター病院前にはコバテイシ並木が木陰を作っています。その区画整理事業は海邦国体の主会場を誘致する際に要望し実現したものでした。国体会場は県総合運動公園として、緑豊かで海浜のある公園として多くの方々に利用されています。彼が大好きだったヤマモモの木が運動公園内とタピックのリハビリテーションガーデンに小さな記念碑と共に育ってきています。故人二人に代わってバオバブとヤマモモはその土地とそこを去来する人々を見守り続けていくことでしょう。
(宮里好一、タピックグループ代表)