コラム「南風」 赤い羽根共同募金


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 赤い羽根の季節を迎えた。街頭や商店の前には毎年のように児童生徒、ボランティアによる募金活動が行われ、すっかり街の風物詩として定着し、県民の善意の心が彩りを添えている。子どもたちの元気な声は、将来の沖縄を担う心豊かな子どもの未来を予感させてくれて頼もしい。

 街頭募金は、お金よりも心を届ける募金だと私は思っている。例えば、100円玉を寄付するより10円玉にして数多く協力する。そして、「ご苦労さま」「お疲れさま」と、その都度、心と言葉を添えるのである。心を添える募金が一般化すれば、募金奉仕者もその苦労が報われ、沖縄のゆいまーる福祉文化の形成にもつながることだろう。赤い羽根は、ふくしコミュニティ―づくりの象徴でもある。
 赤い羽根共同募金は、都道府県単位で行われるが、中央共同募金会は、2006年に「地域をつくる市民を応援する共同募金への転換」を提言した。沖縄県共同募金会も、「寄付者や募金奉仕者の共感を得る」等の五つの改善策を採択した。地域福祉の民間財源としてその充実強化を図るためにも、県共同募金会には五つの改善策に着実に取り組んでほしいものである。
 今日、都市・農村地域を問わず、人と人、地域とのつながりは弱くなっており、家族・地域からの孤立化が進んでいて、孤立死やゴミ屋敷問題が発生している。これらの問題は貧困が基盤にあり、住民や地域組織だけでの解決は難しく、行政等との協働が不可欠である。地域福祉を総合的に推進する社会福祉協議会がこれらの地域福祉課題に主導的に取り組むことを期待したい。また、私たち市民も、これまで民間社会福祉に大きな役割を果たしてきた赤い羽根共同募金を、沖縄の大切な福祉文化として守り育てていきたいものである。
 赤い羽根つけらるる待つ息とめて 阿波野青畝
(神里博武、社会福祉法人豊友会理事長)