コラム「南風」 資源は枯渇しない


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 「アップサイクル」とは、古いものや捨てるものに価値を見いだし、新しい活用法でより良い製品に作り替えること。単純な再利用であるリサイクルとは異なり、新たな有益性を生み出すのが特徴だ。

最近は専ら不登校児童の居場所「Kukulu」で給食おばさんな私だが、目指すところは「食」に関わるアップサイクル商品を生み出し、いわゆる「社会的弱者」なんて呼ばれてしまう方々が、それぞれの個性を活(い)かして働ける場所をつくることなのだ。
 先日、とある食品メーカーから、毎年必ず大量に出る廃棄食材があることを聞きつけた私は、使い道も分からないのにとにかくそれを大量に譲っていただいた。軽自動車のタイヤが軽くつぶれるほどの量だったが、聞けば毎回その何十倍の量が廃棄物になっているという。メーカー側も毎回捨てるには忍びなく、なんとか活用できないか模索しているとのこと。まさに「捨てればごみ、使えば資源」で、これに知恵と工夫を加えれば、廃棄物をお宝の山に変えることができるのだ!
 人も同じである。ニートだのひきこもりだの、高齢者だの障害者だの、さまざまな事情や個性により社会の中で活用されずに埋もれている人材は、これもまた貴重な資源なのだ。この方々を社会保障のクライアントで終わらせてしまえばそれまでだが、それぞれの特徴を活かした活躍の場をつくり出すことにより、立派な社会の担い手へと姿を変えることができる。そう考えれば、Kukuluに通う不登校児童なんてまさに原石、未来のお宝の山なのだ!
 今私の目の前で、廃棄物×プロの技術×未活用な人材により、新たなアップサイクル商品が生まれようとしている。皆さんが今手にしているそれも、こんな新しい循環の中で生まれたものであったなら、地球は昨日より少し元気に回り続けるかもしれない。
(今木ともこ、NPO法人沖縄青少年自立援助センターちゅらゆいフードプロデューサー)