コラム「南風」 チェンジ!


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 ゴキブリさんは、恐竜が栄える以前に存在していたようで、時代と共に形を変えてきました。現代の沖縄では、駆除スプレーをかけられても簡単にはやられず、こうして絶えず進化していく彼らには、敵ながらあっぱれです。彼らから学べるのは、日々変化する環境や状況に合わせて、自分を変化させることの大切さです。

 私はダンスを教える際、アドリブを大切にしています。多感なちびっこの注意を惹(ひ)くためにさまざまなネタや内容を用意していますが、それらが通用せず彼らが注意散漫になることが時々あります。そんな時、私は思い切って指導メニューを中断し、瞬間的にひらめいたことを実行します。急に黙って変な動きをしたり、流す音楽の雰囲気を一変させたり。すると、「あれ?どうしたんだ?」と言わんばかりの顔でみんなが私を見ます。頭を必死に回転させてひらめく動きに、子どもたちは面白がって私のマネをします。
 みんなの集中が私に集まった後は、レッスンを中断した部分から再開することができます。こうして生まれた動きにはインパクトがあり、振り付けとして採用したり、ネタの一つにもなります。私のレッスンではお馴染(なじ)みの「気を付けの時の、手はよ~こ~!」というフレーズがありますが、練習する姿勢ができておらず、始まりのあいさつができない子たちを惹(ひ)き付けるために生まれました。今では進化バージョンがあるほどの定番です。
 「強い者、頭の良い者が生き残るのではない。変化するものが生き残るのだ」。進化論を唱えたダーウィンの言葉で、私が好きな名言でもあります。
 状況を変えようとアクションしても変化せず、余計に悪くなることもありますが、現状維持は悪化の予兆なので、チャンスを生むために私は恐れず、チェンジしていきます。
(伊狩誓志、ストリートダンス講師)