コラム「南風」 「肥満は治らない」という新説


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 ユインチホテル南城でメタボ予防のモニターツアーが行われました。ウェルネスツーリズムとしてビジネスモデルにできないかと病院とホテルのスタッフが協議を重ねています。
 肥満は「食事依存症」ではないかと考えています。琉大医学部在任中にアルコール依存症の脳障害をテーマに研究していました。

 長期間多量の酒を飲み続けると脳が小さくなり血管も壊れやすくなることを突き止め、厚生省の研究班の報告書にも掲載されました。依存とは、「悪いと分かっていてもやめられなくなる」ことです。アルコールという物質と脳細胞の受容体が切っても切れない関係、つまり依存関係になればそれは一生変わらないのです。
 依存は治らないのです。依存症はその依存の害が現れている状態です。アルコールを飲みすぎた結果、体が壊れたり仕事や家庭を失う状態です。ですから依存という「物質と脳の関係」は一生変わらなくても、その物質を取らない状態が続けば依存症は治ることがあるのです。最近の脳科学研究によると糖分や脂肪の多い食事を与え続けると依存状態のラットの脳に似た変化が脳内で起こることが分かりました。
 医師はもちろん保健師や栄養士にも肥満の方がいます。肥満は食事への依存であり肥満症はその害がはっきり出た状態だと理解するとその対策も変わってくるかも知れないのです。アルコールのように単一の物質でない場合が多いのですが、高糖分や高脂肪の食事への依存が多いと思われます。
 実は私自身も骨折して入院するまでは体重が5キロオーバーの肥満でした。すでにコレステロールが高く肥満症になっていました。治って8年たちましたが油断すると元に戻りますので私の肥満は一生治らないのです。次回は、肥満症を治す方法について紹介します。
(宮里好一、タピックグループ代表)