コラム「南風」 子どもとの触れ合い大切に


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 ゆいクリニックの待合室や病室にはテレビがありません。待ち時間に子どもに絵本を読み聞かせてあげてほしいのと、テレビの音や映像がお産後のお母さんや生まれたての赤ちゃんに負担があると思うからです。

 2歳までの子どもがテレビ漬けになると、表情がない、言葉が遅い、いっときもじっとしていないなどの問題が起きる可能性があります。視線をテレビに奪われて親子で目を合わせることができず、感情表現や大人とのやりとりが少なくなります。人に合わせた模倣も乏しくなります。すべて言葉が遅れる原因です。五感を使うこと、身体を動かすこと、人と関わることが赤ちゃんの遊びです。何げないしぐさのようでも、赤ちゃんにとっては大切な遊びです。一日に一度は外に出て、自然と触れ合って、子どもと一緒に自然の光・音・匂い・季節を感じましょう。子どもにとって遊びこそが学びなのです。
 小・中学生もスクリーン(テレビ、ゲーム、パソコン、スマホ)に向かわない時間をつくることが大切です。これは「ノー・スクリーン・ポリシー」と言って、全く使わないのではなく時間を制限してスクリーンから離れる約束をするものです。同様な取り組みで子どものコミュニケーション能力が上がるという報告もあります。実践した人たちから、家族の会話が増えた、一緒に遊ぶ時間が増えた、子どもが早く寝るようになった、子どもの成長に気づいたなどの感想が寄せられたそうです。iPhoneやiPadの生みの親である故スティーブ・ジョブズ氏は、自分の子どもたちにこれらの機器を使わせませんでした。顔を合わせて直接会話をすることをとても大切にしていたそうです。
 子どもの健やかな成長のために、子どもに向き合いもっとお話をしましょう。一緒に絵本を読んだり、身体を使って遊びましょう。
(島袋史、ゆいクリニック院長 産婦人科医)