コラム「南風」 東京の景色(二)


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 10月に入り後期の講義も本格的に始まった。帰省していた寮生も全員が帰寮しいつもの寮の姿に戻っている。気になる前期の評価はどうだっただろうか。今後の学生生活に大いに役立ててほしいものである。

 沖縄であれ東京であれ学びは場所を選ばないと思うが、取り巻く環境はそこでしかできない貴重な体験を多く生み出す。
 10月12日(日)には沖英寮(県の女子寮)のある世田谷区豪徳寺の「豪徳寺沖縄祭り」があった。沖英寮の活動が評価され、商店街祭りでありながら沖縄という名前がついたとの説明に嬉(うれ)しい思いがした。当日は、沖英寮の学生による沖縄物産品販売とエイサー演舞が行われ、南灯寮もそれに参加協力した。11月には南灯寮近くの喜多見商店街音楽祭、そして南灯寮祭が予定されている。また、中野区には新風エイサーという学生中心の団体があり、都内各地でエイサーを披露している。寮生数名もそのメンバーである。
 先月(9月)は池袋にある私立高校の文化祭に立ち寄ってみた。2学年の出し物にエイサーがあり、その指導に寮生2人が協力したことがきっかけである。この高校は沖縄研修旅行を実施しており、そのことが三味線演奏とエイサーの取り組みに繋(つな)がったようである。動作も大きく素晴らしい演舞だったように思う。
 教室には研修報告を兼ねた沖縄関連の展示もあった。自然や食文化に加え、言葉についての記述も多く見られたが、民泊先(宮古島)での宮古言葉のダジャレが笑いを誘い印象的だったようである。例えばこんな感じ「マユのマユにマユはあるか?」。順に飼い主の名、宮古言葉で猫、眉である。この生徒たちがリピーターとして再び沖縄を訪れんことを期待したい。
 東京の至る所に沖縄文化が溶け込み、寮生の活動する姿が見られる。
(大山清、沖縄県県外学生寮南灯寮寮監)