コラム「南風」 へんてこりん講師


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 不登校児童の居場所「Kukulu」には、外部からの助っ人講師もたくさん関わっている。講師は、子どもたちが自分の可能性に気づき将来へ希望がもてるよう、なるべく…えーと…、「へんてこりん」な大人に依頼する。ここに通う子どもたちは、今のところ「学校へ行く」というレールから脱線している。

しかし「Kukuluへ来る」と決めたならば、それは同時に「脱線しても前に進む」ことを選んだということ。その決意に対して大人ができることは、彼らが自分の道を切り開いていくことを応援することでしかないのだが、その「応援する」がいかに難しいことか! 大人ってやつぁ、何十年も生きている間に「ねば」とか「べき」とかいう心の贅肉(ぜいにく)をつけ、子どもたちをありもしないレールに乗せようとしてしまうのだ。
 その点「へんてこりん」な大人はすごい。けもの道でもいばらの道でも楽しみながら前に進む方法を知っているし、しかもそれで生きていけるということを教えてくれる。ある人はスポーツ、ある人はアウトドア、他にも陶芸や昔あそびを通して彼らの可能性を広げ、自由な発想を導き出す。子どもたちは今までいろんな大人に否定され続け、大人を信用していないどころか自分をも肯定できなくなっているのだが、この講師陣と関わることで視野が広がり、確実に変化を遂げていっている。
 何度も言うが、子どもたちは甘えや怠けで学校に行かないのではなく、行きたくても行けない家庭や本人の事情があるのだ。まだまだ認知度の低い「居場所」という存在だが、そんな彼らの脱線に寄り添うと同時に、孤立を防ぐセーフティーネットであるということを忘れてはいけない。私も微力ながら食事を通して応援をし続け、願わくば「へんてこりん」の仲間入りをしたいものである。
(今木ともこ、NPO法人沖縄青少年自立支援センターちゅらゆい フードプロデューサー)