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熱帯性のナマコ、沖縄の石垣島のマングローブ林で国内初確認 島根大チーム


熱帯性のナマコ、沖縄の石垣島のマングローブ林で国内初確認 島根大チーム 沖縄県石垣島のマングローブ林で発見されたナマコ
この記事を書いた人 Avatar photo 共同通信社

 島根大や和歌山県立自然博物館などのチームは石垣島の河口付近に生えるマングローブ林で、熱帯域原産のナマコを発見した。国内初確認という。「海の森林」とも呼ばれるマングローブ林には貝類や甲殻類が生息するが、ナマコの報告例はなく「マングローブ林が生物多様性の維持に貢献していると裏付ける重要な発見」としている。

石垣島のマングローブ林で発見されたナマコを手にする島根大の川井田俊助教=2023年12月、松江市

 見つかったナマコはフィリピンやフィジーが原産地。体長17.6センチの成体で表面は黒く、黄色いいぼ状の足が無数にある。石垣島は亜熱帯域に属し、従来の分布北限より約700キロも北だった。黒潮に乗っての北上や、温暖化による海面水温上昇が影響した可能性が考えられるという。

 島根大の川井田俊助教(海洋生態学)らは2022年6月、カニ類の採集目的でマングローブ林を調査。休憩中、根と根の隙間に挟まっているナマコ1匹を見つけた。

 日本近海には約200種類のナマコが生息するが、岩場や砂の中で活動していることが多い。川井田助教は「貴重なケースだ」と思い、持ち帰って分析。ナマコを見分ける上で重要な体内の小さな組織を精査するなどし、種類を明らかにした。川井田助教は別のナマコがすんでいるかどうかを石垣島で調査する計画で「広く分布していれば、マングローブ林保全の必要性を訴える根拠となる」と期待する。
(共同通信)