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全中代替、6競技検討 水泳、体操など 新設、既存と一本化


全中代替、6競技検討 水泳、体操など 新設、既存と一本化
この記事を書いた人 Avatar photo 共同通信社

 2027年度から大幅に規模を縮小する全国中学校体育大会(全中)に関し、取りやめとなる9競技のうち水泳、体操など少なくとも6競技が受け皿となる大会の検討に乗り出していることが18日、各競技団体への取材で分かった。大会の新設や、既存大会との一本化を図る。残る3競技は今後、中学生年代の大会の在り方を協議する。

 他に新体操、ハンドボール、相撲、スケートで代替大会が検討されている。日本水泳連盟は「高校進学にあたってのキャリア形成においても重要な機会」と大会の必要性を強調。例年、全中と同じ8月後半に実施される小中高校生の全国大会「全国JOCジュニアオリンピックカップ夏季大会」への統合などが議論されるとみられる。

 日本体操協会は「対象となる世代の選手が出場できる大会の開催を検討している」と説明。ハンドボールは既存の「全国中学生クラブカップ」をリニューアルして開催する方向で調整に入った。相撲は時期が近接する「全国都道府県中学生選手権」との一本化を視野に入れる。

 スキーやアイスホッケー、男子がなくなるソフトボールは、同様の大会の必要性について、今後協議する。全日本スキー連盟は「これから議論して、どうするか決めていきたい」とし、日本アイスホッケー連盟も「どうするか検討は必要。具体的な話はまだ始まっていない」としている。

 全中を巡っては、少子化への対応や教員の負担軽減の観点から、日本中学校体育連盟(日本中体連)が8日に9競技の取りやめを発表。競技団体からは戸惑いの声も出ている。

経費、人員確保が課題

 全国中学校体育大会(全中)で実施されなくなる競技の代替大会開催に向けては、開催経費や運営を担う人員の確保が課題となる。負担の主体を巡り、除外を決めた日本中学校体育連盟(日本中体連)と競技団体の間にはしこりも生じ、国が丁寧な協議を求める事態になっている。

 除外対象となったある競技団体の関係者は「3月に突然、通告された」と憤る。日本中体連との会談で「これは決定ですか?」と尋ねると「はい、決定です」と、覆す余地はなかった。競技団体独自の大会に移行する場合、中体連から財政措置があるかどうかを問うと「全く考えていない」との答えが返ってきたという。

 日本水泳連盟は「急な方針発表には唐突感がある」と公然と表明するなど、不満が渦巻く。一方、日本中体連側は「事前に説明していた」と反論。中体連関係者によれば、ある団体は「先生を運営にかり出すため」に、代替大会への中体連の後援を求めてきたという。教員の負担軽減を大きな目的の一つとして規模縮小に踏み切っただけに、教員頼みで新たな大会を運営するのは本末転倒だ。

 盛山正仁文部科学相は11日の記者会見で「関係者の声に耳を傾けながら、丁寧に対応することが重要」と日本中体連に要請した。スポーツ庁幹部は、夏場に複数の全国大会がある水泳を例に挙げ、教員だけでなく子どもたちの負担にもなっていると指摘。「みんな大変だから整理しましょう、という議論をすべきだ。大人の都合ではなく、子どもたちがスポーツに親しむ環境をどうするか考えないといけない」と訴えた。

(共同通信)