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「月1回の食堂」が幅広い世代交流の場に 助け合い、多くの人の協力に支えられ かめかめ食堂実行委員代表・新川瑠美さん<マイフロントライン・私の最前線>


「月1回の食堂」が幅広い世代交流の場に 助け合い、多くの人の協力に支えられ かめかめ食堂実行委員代表・新川瑠美さん<マイフロントライン・私の最前線>  新川 瑠美さん
この記事を書いた人 Avatar photo 友寄 開

 移り住んだ宮古島市内でひとり親として子育てに奮闘しながら、子どもから高齢者までが交流する「地域コミュニティかめかめ食堂」の実行委員代表を務める新川瑠美さん(39)。同じ境遇で副代表の森光佐さんとともに協力者を募りながら、高校生以下の食事を無料にしている。かめかめ食堂のこれまでの活動や今後の目標などについて聞いた。

 ―活動を始めたきっかけは。

 「子育てをしていく中で、遊ぶ場所や飲食店など、子どもを連れて行ける場所が限られると感じていた。宮古島市は移住者も多く、自分の親や親戚に頼れない人も多い。新型コロナウイルスがまん延していた頃は、より妊娠や出産、子育てに孤独を感じた親は多いと思う。一緒に暮らす森副代表と『助け合って生活できることはいいよね』と話し、いろんな世代が交流し、子育て世代の親が安心して過ごせる場所を作りたくて月1回の食堂を始めた」

 ―つながりを持つことの意義は。

 「孤独ではなくなり、交流の中で情報も得ることができる。情報がないと現状を打開できない。また、悩みなどを聞いてもらえる機会は重要だ。昔は地域全体で子育てをしていたが、現在は核家族になって、アパートの隣の部屋に誰が住んでいるかも分からない時代になっている。そんな状況の中で、地域との関わりを求めている子育て世代の家庭は多いと思う」

宮古島市内の有志アスリートによる「宮古島24時間チャリティーラン」で集まった寄付金を受け取る新川瑠美さん(左)。地域に支えられ、かめかめ食堂を運営している=8月20日、宮古島市上野

 ―高校生以下は無料、大人は格安の値段で食事を提供している。

 「材料と資金の提供や当日のボランティアなど、多くの人の協力に支えられている。当初は子ども食堂と幅広い世代の交流の場の機能を意識していたが、参加者の要望を受けて、キャンプやフリーマーケット、ワークショップ、子育て相談なども平行して実施してきた。活動の範囲は限定しないようにしている」

 ―今後の目標は。

 「この食堂を継続させていくこと。そのために協力者を増やして安定して開催できる体制をつくりたい。仕事や家庭の合間を縫って企画し、資金・食材などの協力を募っているので、こちらの呼びかけが不十分な面がある。もし、食べることができるけど商品価値が低くなり廃棄するものなどがあれば、教えていただきたい。こちらで使わなくても、別の子ども食堂などにつなぐこともできるので、支援に役立ててほしい」

 (友寄開)


 あらかわ・るみ 埼玉県出身。豊岡高校を卒業。2013年ごろに宮古島市に移り住む。ひとり親で1人息子を育てながら、23年5月から「地域コミュニティかめかめ食堂」を開催。