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マラリア鎮魂歌碑を建立 糸満在住・富底さん、犠牲の兄姉思い平和願う 竹富・西表


マラリア鎮魂歌碑を建立 糸満在住・富底さん、犠牲の兄姉思い平和願う 竹富・西表 「星になったこどもたち」の歌碑を建立した富底正彦さん=4日、竹富町西表島の南風見田の浜近く(富底さん提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 照屋 大哲

 【西表島、波照間島=竹富】竹富町波照間島出身で糸満市在住の富底正彦さん(67)が3日、町西表の南風見田の浜近くに、戦争マラリアで命を落とした住民への鎮魂歌「星になったこどもたち」の歌碑を建立した。「この歌を後世に残し世界平和を願う」思いで、町の許可を得て個人で取り組んだ。今年6月には波照間島に曲名や作詞作曲者名などを刻銘した石碑を建立しており、今後、歌碑も追加で設置する予定。

 富底さんは戦争マラリアで兄と姉を亡くした。戦争当時5~6歳だった兄と赤ちゃんだったという姉は波照間島から軍命で西表島へ疎開させられマラリアに罹患(りかん)し、波照間島に戻って亡くなったという。戦後生まれの富底さんは両親から伝え聞き、ずっと兄と姉への思いが胸にあった。

 2023年、テレビ番組で「星になったこどもたち」を聞き、感動して涙がこぼれ、歌碑の建立を決意した。西表の歌碑も波照間の石碑もいずれもQRコードを埋め込んでおり、スマートフォンなどで読み込むと富底さんの弟が作成した動画と同曲が流れるという。

 富底さんは「地元の人たちも感動しているとのことで良かった。兄と姉には大変だったね、と言いたい。もし今生きていれば話してみたかった」と、きょうだいへの思いをはせた。

 (照屋大哲)