首里城、県文化財3点現存 財団、収蔵品1000点回収 焼失1週間


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木造の首里城正殿は全焼し、土台と二つの龍柱だけが残っている(国営沖縄記念公園事務所提供)

 沖縄県那覇市首里当蔵町の首里城本殿など主要7棟が焼失した10月31日未明の火災から7日で1週間を迎えた。文化財の被災状況について県や沖縄総合事務局、沖縄美ら島財団は6日、首里城火災に関する記者会見を開き、収蔵庫などにあった県指定有形文化財の「白澤之図(はくたくのず)」など3点の現存が確認されたと発表した。

 寄満(ゆいんち)収蔵庫に収蔵されていた「黒漆菊花鳥虫七宝繋沈金食籠(くろうるしきっかちょうちゅうしっぽうつなぎちんきんじきろう)」「黒漆牡丹七宝繋沈金食籠(くろうるしぼたんしっぽうつなぎちんきんじきろう)」は焼け跡はないが一部水漏れの形跡があり、熱による変化の可能性があるという。財団は1500点のうち千点の収蔵品を回収し、状態を調査している。残りの約500点は焼失した可能性が高い。

 焼失が確認されたのは寄満多目的室に保管していた「雪中花鳥図」「江戸上り行列図」「中山伝信録」など26点以上。正殿、北殿、書院鎖之間の展示品は所在が確認できておらず焼失した可能性が高いという。現時点で被害総額などは判明していない。財団が県立博物館・美術館などの協力も得て調査を進めている。

 一方、火災発生時の警備体制について財団は1日の会見では、火災発生前の午前1時20分に火元とされる正殿を警備員が巡回したと説明していたが、6日の会見では実際は巡回していなかったと修正した。

 財団はまた、正殿の電源を落とした際の事実関係についても訂正した。当初は「1時5分に警備員がブレーカーを落とした」などと説明していたが、この日の会見では「9時30分に自動に切れていた」と述べた。電源が落ちた時間は、カメラ映像で正殿内の照明が落とされ暗くなったことをもって確認したと説明した。防火体制について問われた沖縄総合事務局国営沖縄記念公園事務所の鈴木武彦事務所長は既存防火設備について「我々が設置したもの」とし、「消防や警察が火災原因を検証している。その知見、現場検証の結果を踏まえ、適切に点検し、再発防止に努めていくことが必要だ」と述べた。

 那覇市消防局は「現在、消防では電気系統の原因が有力と考えているが、その他のあらゆる可能性を含めて調査を行っている」とした。