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母と姉が夜中バケツを持って大きな井戸に水をくみに行った。井戸の周りには兵隊たちが水を飲みに来て力尽き、たくさんの人が死んでいた。そのくんできた水を飲んだ翌朝、お母さんに「あんた、歯を抜いたの?」って聞かれ「抜いていないよ」と答えたらお母さんはバケツを見て、血の入った水だったことに気付いたんだ。防空壕には水など何もないから私はその血の水を飲んで生き延びたんだよ。
《ある日、比嘉さんと、おじの2人は防空壕に砲弾の破片が飛んできて大けがをしました》
おじさんは膝をけがして「もう、自分は死ぬんだって」と泣いていた。昼も夜も泣くものだから、父が「そんなに泣くと爆弾を落とされるから、かやぶき屋根の小屋に連れて行こう」って、手と足をつかんで、みんなで小屋に運んでしまった。私は泣いたら怒られるので、泣かずにいたら、母が私の太ももに30センチくらいの破片が刺さっているのに気付き、父に伝えたら「寝かしておけ、自分たちは逃げよう」って父は言った。しかし、母は「私が母親だからこの子はどこまでも守る」と父に言い返していたよ。
※続きは12月9日付紙面をご覧ください。