国立劇場おきなわの琉球舞踊公演「創作舞踊の会」が10月14日、浦添市の同劇場であり、各流派や踊り手の特色を生かした創作舞踊10演目を上演した。作舞(振り付け)をした本人やその弟子、孫弟子らが出演した。恋や庶民の暮らしなど多彩なテーマの作品で観客を楽しませた。
第1部は島袋光裕作舞の「若水(わかみじ)」で幕を開けた。夫婦円満や長寿を予祝する(未来の幸せを先に祝うことで実現を祈願する)祝儀舞踊で、会場を晴れやかな雰囲気に包んだ。
安座間澄子作舞の「琴の調べ」は箏の美しい音色を生かした爽やかな二才踊。古謝弘子作舞の「八重山育ち」では島々の情景と娘たちの素朴な風情を表現した。山田貞子作舞の「樽囃子(たるばやし)」は樽を打つ独創的な所作で楽しませた。
第1部の最後は山城洋子作舞の「ふやかりて(てぃ)」を本人が舞った。「ふやかりて」とは離別を意味する、組踊で使われる言葉。前半は手燭(てしょく)を持って別れた恋人を思い、後半は「下出し仲風節」に乗せて切ない思いを表現した。
第2部は玉城千枝作舞の祝儀舞踊「百(むむ)かりゆし」で幕開け。大城政子作舞の「二面踊り」は後頭部に老人の面を付け、後ろ姿で老人を、正面で娘を踊り分けた。若き日もあれば老いもあるという人生の教えを表現した作品だという。高度な技量とコミカルな所作で会場を沸かせた。
大トリは玉城秀子作舞の「あや愛(かな)しゃ」。八重山民謡に乗せ、織り上げた布を水にさらす様子などを美しく舞踊化した。
そのほか、島袋君子作舞「御祝笠(うゆゑがさ)」、真境名佳子作舞「宮城(なーぐすく)くわでぃさ(くゎでぃーさー)」も披露された。
(伊佐尚記)