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又吉文学の魅力議論 27日、那覇 書籍刊行記念シンポ


又吉文学の魅力議論 27日、那覇 書籍刊行記念シンポ 新刊とシンポジウムをPRする又吉栄喜さん(右)と大城貞俊さん=17日、琉球新報社
この記事を書いた人 Avatar photo 当銘 千絵

 沖縄を代表する芥川賞作家・又吉栄喜さんの作品を多角的に検証する書籍「又吉栄喜の文学世界」(税込み2200円)がこのほど、コールサック社より刊行された。著者は大城貞俊さん、村上陽子さん、鈴木比佐雄さんの3人。同書の刊行を記念したシンポジウムが27日午後2時から、那覇市松尾の県教職員共済会館八汐荘で開かれる。県内外で活躍する作家や文学研究者が一堂に会し、改めて又吉文学の魅力や意義について考える。

 又吉さんは1996年、「豚の報い」で芥川賞を受賞した。その後も精力的に創作活動を続けており、2022年には未刊行作品集「又吉栄喜小説コレクション全4巻」を発表した。

 シンポジウムの第1部では、琉球大の呉世宗教授が「シュルレアルかエロスか―又吉栄喜初期作品から考える」を、愛知淑徳大の柳井貴士教員が「沖縄をめぐる戦争と文学―又吉栄喜の戦争表象」をテーマに、それぞれ講演する。第2部では文芸評論家の岡本勝人さん、作家の富山陽子さん、詩人・小説家の高柴三聞さん、作家の国梓としひでさんによるパネルディスカッションを行う。コーディネーターは大城貞俊さんが務める。

 17日、琉球新報社を訪れた大城さんは、これまで又吉文学を個々で論考する場はあったが、まとめる機会がなかったと振り返り、「沖縄を書き続けている又吉さんの世界観を通して、改めて沖縄文学の可能性を模索する場にしたい」と述べた。又吉さんは「文学は読む人によって捉え方が異なる。皆さんが又吉文学をどう解釈しているのかを知るのも楽しみだし、若い表現者にとっても刺激的な会になるはずだ」と述べた。

 参加料は500円。問い合わせは大城さん、電話098(890)4343。

(当銘千絵)