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フリー全業種、労災対象へ 来年秋 270万人に保険加入拡大


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 企業に属さないフリーランス(個人事業主)として働く人たちの生活を保障するため、厚生労働省は、配達員など一部業種に限られる労災保険の任意加入制度を、原則として全業種に広げる方向で議論を進めている。2024年秋からの運用を目指しており、対象者は現在の推定約75万人から約270万人に拡大すると見込まれる。
 厚労省によると、フリーランスが自己負担で労災保険に加入できる「特別加入制度」は現在、食事宅配サービスの配達員や歯科技工士、個人で建設業に従事する「一人親方」といった25業種が対象。新制度では、企業から業務を委託される全業種に加入が認められ、デザイナーや研究者、コンサルティング業なども対象となる。
 保険料は業種や給付額で変わるが、現行制度では年間4千円ほどで加入できる場合もある。
 個人で仕事を請け負うフリーランスは増加しているが、企業との雇用関係がなく、業務起因のけがや病気をしても療養費や休業補償が労災保険でカバーされないことが問題視されてきた。厚労省は特別加入の対象業種を徐々に拡大。今年5月に公布されたフリーランス保護法の付帯決議では、さらに幅広く加入できる制度を求めており、同省の審議会が10月から本格的な議論を始めた。
 保護法は24年秋に施行される見通し。厚労省は、全業種で特別加入できる制度を始められるよう省令改正を目指す。