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ライドシェア9割が未検討 都道府県、安全確保懸念 タクシー不足は7割


ライドシェア9割が未検討 都道府県、安全確保懸念 タクシー不足は7割 ライドシェアを巡る主な動きや意見
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 一般ドライバーが自家用車を使い乗客を有償で運ぶ「ライドシェア」を巡り、都道府県で独自に導入を検討しているのは神奈川、大阪の2府県にとどまることが4日、各都道府県への取材で分かった。徳島は検討課題に挙げた。残る9割の44都道府県は具体的な検討に入っていない。全体の7割に当たる33道府県はタクシー不足を認識していると答えたが、安全確保やタクシー事業者の経営圧迫への根強い懸念があるようだ。
 ライドシェア導入を巡り、政府はデジタル行財政改革会議で議論を開始。河野太郎デジタル相は年内に報告を取りまとめる意向だ。自治体や民間非営利団体(NPO)らが運営主体となり、過疎地をはじめ交通の不便な地域で例外的に認めている「自家用有償旅客運送」制度を活用し、適用地域の拡大や、タクシーが不足する時間帯に認める案などが浮上している。
 10月下旬、47都道府県の担当部署に公共交通へのライドシェア導入を検討する考えがあるかどうかを聞いた。神奈川は事業者や自治体による検討会を設置し、観光地を抱える三浦市を想定して導入の是非を議論。大阪は11月1日、2025年の大阪・関西万博期間中の導入に向けたプロジェクトチームを発足させた。
 徳島は月内に事業者らとの勉強会を立ち上げ、タクシー不足対策を話し合う。担当者は「ライドシェアも意見交換する予定だが、まずはタクシーを増やす方策を検討する」と説明している。
 導入を検討していない理由は「事故の補償などクリアすべき課題がある」(福島)「ライドシェアで地域のタクシー事業がなくなってしまうこともあり得る」(愛知)など。「国の動向を見ながら今後議論する可能性はある」(鹿児島)と、検討の行方を注視する地域も多い。
 タクシー不足に関しては「コロナ禍で運転手が離れた」(青森)「運転手の高齢化などの不安が露呈し始めている」(広島)と、担い手確保が必要な現状が浮かんだ。