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服のデザイン どこから模倣? SNS炎上相次ぐ 知識なく参入、識者警鐘


服のデザイン どこから模倣? SNS炎上相次ぐ 知識なく参入、識者警鐘 ファッションの模倣の問題について話す海老沢美幸弁護士=10月、東京都千代田区
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 ファッションはどこからが模倣か―。交流サイト(SNS)に服を比較する画像が投稿され「炎上」する事例が相次いでいる。安易に既存商品をまねしたり、人気商品に似たものを海外から買い付けたりするケースが目立つ。ファッション業界に詳しい海老沢美幸弁護士(48)は、デザインの模倣に関する知識が乏しいまま事業に参入する人が多いと警鐘を鳴らす。
 背景の一つに、ファッションブランドを立ち上げるインフルエンサーの増加がある。その世界観が好きなフォロワーからの支持が見込め、事業が軌道に乗りやすいと考えられているためだ。個人のネットショップ開設を支援するサービスが普及し、相手先ブランドによる生産(0EM)を手がけるアパレル業者が新規取引先として注目したことも要因となっている。
 海老沢弁護士によると、ファッション業界は「オマージュ」や「インスパイア」といった言葉が示すように、さまざまな文化やデザインから着想を得て発展してきたため、もともと模倣への意識が高くはないという。
 海老沢弁護士の問題意識はその異色の経歴によるものだ。大学で法律を専攻後、自治省(現総務省)に入省。出向した岐阜県で寂れた繊維問屋街を見て、好きだったファッションへの情熱を思い出し、出版社へ転職した。渡英を経てフリーランスのスタイリスト兼編集者として働く中、雑誌用に撮った写真が二次使用されたことなどに疑問を持ち、弁護士になった。
 アパレル事業者向けに模倣防止対策のセミナーを開いたり、インフルエンサーらの相談に応じたりして精力的に活動中だ。「創造力を発揮し、ビジネスを円滑に進めるため、法律の知識を身につけてほしい」と話している。