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物価2%「確度高まる」 日銀総裁 来春闘に期待感


物価2%「確度高まる」 日銀総裁 来春闘に期待感 植田総裁
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 日銀の植田和男総裁は6日、名古屋市で開かれた中部経済界との会合で講演し、2%の物価安定目標について「実現の確度が少しずつ高まってきている」と述べた。その後の記者会見では、2024年春闘での賃上げが「そこそこのもの(水準)になるという可能性が少し前に比べると高まっている」と話し、賃上げを伴う形で物価が安定的に上昇する経済の好循環に期待感を示した。
 植田氏は、好調な企業業績や人手不足、高い物価上昇率などが賃上げを後押しする可能性を指摘した。ただし、賃上げの継続に「完全に自信を持てる状況ではまだない」とも述べ、大規模な金融緩和策を継続し、景気を
下支えする考えを示した。
 物価目標の達成が見通せるまでは、大規模緩和の柱である長期金利の操作や、短期金利に適用するマイナス金利を「維持する」と強調した。年内にマイナス金利を解除する可能性については、明確な回答を避け「どの会合でも前の会合に比べて判断を進める可能性はあるが、今年ももう(残り)2カ月弱になってしまった」と語った。
 日銀は10月、金融緩和策を再修正し、長期金利の上限を1%から「1%をめど」に柔軟化した。債券市場の機能低下など、金利を厳格に抑え込むことで生じる副作用を防止する狙いだ。
 植田氏は「大規模な国債買い入れは継続し、金利上昇局面では水準や変化応じて機動的に対応する」と説明した。