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穴あき繊維で防虫効果 岐阜大学発ベンチャー企業が開発


穴あき繊維で防虫効果 岐阜大学発ベンチャー企業が開発 製品について説明するファイバークレーズの長曽我部竣也社長=9月、岐阜市
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 着るだけで虫が寄って来ない服を―。岐阜大学発のベンチャー、ファイバークレーズ(岐阜市)が、目に見えないほどの小さな穴をあけた繊維に、防虫などさまざまな薬剤の成分を閉じ込めた新素材を開発している。地元岐阜を中心に、東京や大阪などの企業とタッグを組み、来年3月末までの製品化を目指す。
 一般的に、繊維は穴があくと強度が落ちて不良品になる。ファイバークレーズは穴を髪の毛よりも小さくして繊維の強度を保ちながら、防虫や消臭、除菌といった薬剤の成分を閉じ込める技術を持つ。成分がなくなっても再び閉じ込めることができるため、何度でも利用できる。
 糸メーカーなどに依頼し、穴あき繊維とそれを使った服にタオルといった試作品も製作。アウトドアや虫が媒介する感染症の予防、介護など幅広い分野での活用を想定する。繊維の風合いを保てるように加工したり、防虫や抗菌などの機能を向上させたりと、製品化に向けて工夫を重ねる。
 長曽我部竣也社長(26)は、岐阜大4年時に穴あき繊維の研究を始めた。岐阜大で20年以上前から研究されていたものの、製品化には至っていなかった技術だ。「研究している立場から事業化まで持っていくことで、新しい価値を世に出せるのではないか」と考え、2021年9月に事業を始めた。今後は製品化と素材の量産を目指す。新しい素材の開発にも力を入れる方針だ。