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経常黒字3倍、12.7兆円 訪日消費、投資収益伸び


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 財務省は9日、2023年度上半期(4~9月)の国際収支速報で、海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支の黒字額が前年同期の3・0倍の12兆7064億円だったと発表した。比較可能な1985年度以降、年度の半期ベースで最大。旅行収支の黒字額も最大となり、円安を背景に海外投資による利子収入なども増えた。資源高の一服で輸入額が大幅に減ったことも黒字拡大に寄与した。
 経常収支の構成項目のうち、訪日客が日本で使った消費額から日本人旅行客の海外での消費額を差し引いた旅行収支の黒字額は15・0倍の1兆6497億円に拡大し、比較可能な96年度以降で最大となった。新型コロナウイルスの水際対策緩和で訪日客が急増し、日本で多くのお金を使った。
 投資に伴う利子や配当のやりとりの動向を示す第1次所得収支の黒字額は3・9%増の18兆3768億円。海外の金利上昇などを受け、比較可能な85年度以降で最大を更新した。
 輸出から輸入を差し引いた貿易収支の赤字額は84・7%減の1兆4052億円に縮小した。輸入が13・2%減の51兆266億円となったのが主因。原油や液化天然ガス(LNG)が減った。輸出は0・0%(240億円)増の49兆6214億円だった。半導体不足の緩和で自動車が堅調だった。
 同時に発表した9月単月の経常収支の黒字額は前年同月比3・6倍の2兆7236億円だった。輸出が2・6%増の9兆601億円、輸入は18・1%減の8兆7189億円で、貿易収支は3412億円の黒字だった。