有料

IPEF大筋合意へ 米主導、中国対抗で初成果


IPEF大筋合意へ 米主導、中国対抗で初成果 IPEF交渉の4分野
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【サンフランシスコ共同=尾崎雅子】新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の交渉を続けている日米韓など14カ国が、米西部サンフランシスコで13、14日に閣僚会合を開き「公正な経済」など主要3分野で大筋合意する見通しとなったことが11日、関係者への取材で分かった。覇権主義的な動きを強める中国への対抗を念頭に昨年5月に発足した米主導の枠組みで、初のまとまった成果となる。
 閣僚会合は、12日からサンフランシスコで始まるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の関連会議と並行して開く。会合直前まで各国の首席交渉官らが大筋合意に向けた詰めの協議をする。デジタル貿易など一部の課題は見送り、実施可能な範囲でインド太平洋地域の経済発展につながる国際ルール作りを急ぐ。
 IPEFは「貿易」「サプライチェーン(供給網)」「クリーン経済」「公正な経済」の4分野で高い水準のルールを設ける。気候変動対策の数値目標の検討や、汚職防止などが柱だ。このうち重要物資の供給網強化は5月に実質合意しており、今回は協定の閣僚署名式などを実施する。
 一方、「貿易」の一部分であるデジタル貿易を巡る交渉は事実上、停止する。データ流通に関するルール策定で巨大IT企業に利益が集中するとの懸念が広がり、米国が方針転換した。貿易分野の「全てについての合意は困難」(交渉関係者)で、全般の手続きの円滑化にとどまる見込み。米国は当面の枠組みでもIPEFは整ったと見なし、実行に移していく考えだ。
 IPEF参加国の首脳が会合を開き、共同声明を発表する方向でも調整している。「自由で開かれた繁栄に向けて経済的関与を深める」などと打ち出すとみられる。