有料

再建に高いハードル/顧客離れ深刻


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 経営再建中の中古車販売大手ビッグモーター(BM、東京)に対し、伊藤忠商事など3社が支援を検討することになった。伊藤忠はグループで手がける自動車関連事業との相乗効果を見込むが、自動車保険の不正請求問題によるBMの顧客離れは深刻で、再建のハードルは高い。
 伊藤忠が重視したのは、工場で不正の横行を許した兼重宏行前社長ら創業家との決別だ。一代でBMを業界最大手に育て上げた兼重氏は、資産管理会社を通じてBM株を保有している。
 社内での発言力も絶大だったため「支援への最大の障壁」(関係者)との見方もあり、伊藤忠は創業家が経営に関与しないことを条件にした。
 BMには不祥事で失う収入もあり、再建への道は険しい。金融庁は11月末にBMの保険代理店登録を取り消す方針で、保険販売に絡む手数料収入は得られなくなる。
 8月には銀行が借入金90億円の借り換えに応じなかったこともあり、店舗統廃合や資産売却による運転資金の確保も引き続き課題となる。
 伊藤忠など3社は今後、資産査定を通じて経営再建の可能性を検証するが、信頼が失墜したBMに関わることで自社の評判に影響が出るリスクを抱え込む。
 伊藤忠は再建可能な事業だけをグループに取り込みたい考えだが、BMが自らの「解体」に抵抗する可能性もある。支援に向けた協議は波乱含みとなりそうだ。