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「歳出平時に」提言/財政審 診療報酬5.5%下げも


「歳出平時に」提言/財政審 診療報酬5.5%下げも 財政制度等審議会の建議のポイント
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 財務相の諮問機関である財政制度等審議会は20日、2024年度予算編成に向けた建議(意見書)をまとめた。金利が上昇傾向にあることを踏まえ「国債の利払い費が急増するリスク」も念頭に置き、新型コロナウイルス禍や物価高への対応で膨らんだ歳出(支出)を「平時に戻す」よう求めた。医療サービスの公定の対価として保険料や税金、患者負担を元に支払われる診療報酬を巡り、診療所はもうけが多いとして、報酬単価の「5・5%程度の引き下げ」を提言した。

 財政審の十倉雅和会長(経団連会長)が鈴木俊一財務相に建議を手渡した。
 記者会見した財政審分科会の増田寛也会長代理(日本郵政社長)は「財政健全化に切り替えていく大きな節目だ」と強調。診療報酬に関し「状況が良い診療所の収益を守るのか、勤労者の手取りを守るのか国民的な議論をお願いしたい」と訴えた。
 国の借金である国債の利払い費が急増するリスクには冒頭の「総論」で言及した。「今後は物価高や金利上昇が常態化する可能性がある」と強調。巨額の政府債務を抱える中での金利上昇で、国債の買い手である投資家から国債金利の上乗せを求められる恐れも指摘し「責任ある財政運営を行っていくことが一層重要だ」と訴えた。
 診療報酬は「各論」で触れ、診療所の報酬単価を5・5%程度引き下げると、保険料負担が年間約2400億円減ると試算した。医療費全体を1%程度押し下げる。5・5%は診療所の利益率を全産業の平均並みに抑える下げ幅に当たる。診療所は小規模で入院施設がないことが多い。
 24年度は2年に1回の診療報酬の改定時期に当たり、24年度予算編成の焦点となる。財政審は診療所への報酬を含め、医師や薬剤師の技術料に当たる診療報酬「本体」部分の全体の引き下げも求めた。
 武見敬三厚生労働相は診療報酬の引き上げに意欲を示している。