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賃上げ促進、赤字企業も/黒字化時点で減税検討


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 岸田文雄首相が意欲を示す賃上げ促進税制の拡充を巡り、政府、与党が、法人税を納めていない赤字の中小企業も新たに対象に加え、将来、黒字になったときに減税する制度を創設する検討に入ったことが21日、分かった。さらに、賃上げだけでなく、子育て支援や女性登用にも積極的な企業は、納税額から差し引く額を上乗せして優遇する方向で調整する。与党の税制調査会が詳細を詰め、年末に決める2024年度税制改正大綱に盛り込む。
 首相は大幅な賃上げが物価高克服に欠かせないとみて、24年の春闘では23年を上回る賃上げを経済界に求めている。与党も賃上げ促進税制の拡充に前向きだが、赤字の中小企業を賃上げに向かわせることができるのかなど課題は多い。
 現行制度は、大企業の場合、給与などの総額を前年度より3%以上増やせば増加額の15%を、4%以上増やせば増加額の25%をそれぞれ法人税の納税額から差し引いて減税する。中小企業は、1・5%以上増やせば増加額の15%が、2・5%以上増やせば増加額の30%がそれぞれ減税される。
 賃上げがどこまで広がるかは中小企業が鍵を握るが、全体の約6割は赤字などで法人税を納めておらず、賃上げ促進税制の対象になっていない。このため、黒字になって法人税を納めたときに減税する仕組みを設ける。