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投資減税、賃上げ要件延長 消極的な大企業、対象外


投資減税、賃上げ要件延長 消極的な大企業、対象外 賃上げと投資拡大を促す主な法人税減税
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府、与党が企業の研究開発や第5世代(5G)移動通信システム関連の投資を促すための法人税の減税措置について、賃上げや設備投資に消極的な大企業は対象外としている要件を延長する方向で調整に入ったことが22日、分かった。単純延長ではなく適用条件を厳しくする案も浮上している。賃上げ税制の拡充と合わせ、岸田政権が目指す「物価上昇を上回る賃上げ」の実現を後押しする。
 自民、公明両党の税制調査会が年末に向けた2024年度税制改正作業で詳細を詰める。ただ経団連などは投資促進の妨げとなる恐れがあるとして「さらなる厳格化は行うべきではなく、廃止を含めた見直しを行うべきだ」と要件の維持・厳格化に反対しており、調整が難航する可能性もある。
 現行制度では、(1)研究開発(2)5G関連投資(3)デジタルトランスフォーメーション(DX)関連投資(4)脱炭素化に向けた投資(5)地域経済をけん引するための投資―を促すための五つの減税措置について、賃上げや設備投資に消極的な企業を対象から外すことになっている。大企業は原則として対前年比で給与などの支給額を少しでも増やすか、国内の設備投資額が減価償却費の3割を超すかすれば適用外を免れる。
 要件は24年3月末が期限の予定だが、岸田政権が「最重要課題の一つ」と位置付ける賃上げ促進のため延長する方向だ。23年春闘で経団連の大手会員企業の平均賃上げ率が3・99%の高水準となったことも踏まえ、賃上げ要件の水準を引き上げて厳しくすることも検討。政府が経済対策で打ち出した賃上げ税制などの拡充で法人税が減収となる分の財源を、研究開発税制などの要件厳格化による減税縮小で確保する狙いもある。