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損保4社に改善命令へ 金融庁 企業保険、9割シェア


損保4社に改善命令へ 金融庁 企業保険、9割シェア 損害保険大手4社によるカルテル疑惑を巡る経過
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 損害保険大手4社による企業向け保険のカルテル疑惑で、金融庁が年内にも4社に保険業法に基づく業務改善命令を出す方向で調整していることが24日、分かった。4社は企業向け保険で約9割のシェアを占めており、金融庁は、寡占市場で競争を避けてきた4社の法令順守意識の低さを問題視し、異例となる一斉の行政処分に踏み切る方針。各社のトップは経営責任の明確化を求められそうだ。
 4社は東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険。カルテル疑惑を巡っては、100社を超える取引先で保険料を事前に調整する行為が判明している。複数の損保でリスクを引き受ける「共同保険」と呼ばれる契約形態で横行。入札の際に担当者同士が連絡を取り合い、提示額をそろえたり、特定の損保のシェアが1位になるよう金額を調整したりしていた。企業向けだけでなく、東京都など官公庁向けの契約でも受注調整を図った疑いがある。
 今年6月、東京海上日動が私鉄大手、東急グループ向けの火災保険契約で保険料調整を主導したと公表。その後、仙台国際空港や成田国際空港会社(NAA)、ENEOS(エネオス)などの石油元売り向けでも疑いが広がり、金融庁が損保各社に対し、2回にわたり報告徴求命令を出していた。
 公正取引委員会も動いており、東急グループと仙台国際空港の案件で行われた事前調整が独禁法違反(不当な取引制限)に当たる可能性があるとみて任意調査を進めている。