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一般病院 6.7%の赤字 厚労省調査 昨年度、物価高響く


一般病院 6.7%の赤字 厚労省調査 昨年度、物価高響く 医療機関の利益率
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 厚生労働省が24日公表した2022年度の「医療経済実態調査」によると、一般病院の1施設当たりの利益率は前年度比1・2ポイント悪化し6・7%の赤字だった。光熱費など物価の高騰が響いた。新型コロナウイルス関連の補助金を含めると1・4%の黒字。医療法人が運営する診療所は補助金を除いても8・3%の黒字となった。
 調査は2年に1度行い、医療機関の収入に当たる診療報酬の24年度改定の基礎資料となる。今年の年末の改定率決定へ議論が本格化した。
 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は診療所の利益が多いとし、診療報酬のうち医療従事者の人件費に当たる「本体」部分の引き下げを主張。これに対し日本医師会は待遇改善へ大幅増を訴える。政府は賃上げを重視する一方、社会保障費抑制で少子化対策財源を捻出する方針も掲げ、難しい調整を迫られる。
 病院はベッド数が20床以上、診療所は0~19床。一般病院の赤字は、医療法人が運営する民間1・3%、国立8・7%、自治体による公立19・9%。公立は補助金込みでも赤字に陥った。個人の診療所は補助金を除いても32・0%の黒字。補助金は23年度は縮小し、24年度になくなる見込み。
 一般病院の医療従事者の平均年収は病院長約2633万円、医師約1461万円、看護職員約520万円、看護補助職員約324万円。医療法人運営の診療所では院長約2652万円、医師約1118万円、看護職員約409万円、看護補助職員約260万円だった。
 厚労省は23年度推計も提示。物価高の影響拡大や従事者の賃金上昇分の反映などで、利益率は一般病院は赤字が10・2%に広がり、医療法人運営の診療所の黒字は7・6%に縮小するとした。