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訪日客に体験型売り込み 富裕層の地方誘導に期待


訪日客に体験型売り込み 富裕層の地方誘導に期待 訪日客向けの主な「アドベンチャーツーリズム」
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 旅行会社や航空会社が新型コロナウイルス禍から回復を続けるインバウンド(訪日客)に、自ら体を動かして自然や文化を楽しむ体験型旅行「アドベンチャーツーリズム」を売り込もうと力を入れている。時間をかけて特定の地域を巡ることが多いため、地方への誘客につながるとして注目されている。
 アドベンチャーツーリズムは一般的に「アクティビティ」「自然」「文化体験」のうち、二つ以上を含む旅行とされる。欧米やオセアニアを中心に世界的な人気が高まっている。
 米調査会社アライドマーケットリサーチによると、世界の市場規模は2022年に49兆円だったが、32年には300兆円まで拡大すると推計されている。参加者は富裕層が多く、長期間滞在する傾向があることから、地方に誘導することで都市部のオーバーツーリズム(観光公害)の解消にもつながると期待されている。
 旅行大手JTBは訪日客向けの旅行商品に、今年からアドベンチャーツーリズムと銘打った14のツアーを用意。京都や瀬戸内海の「しまなみ海道」を自転車で巡るツアーが人気といい、京都では500人以上が参加した。山北栄二郎社長は「インバウンド向けのキラーコンテンツになる」と強調。東北や北海道でのツアーの開発も進めている。
 日本航空はガイド付き体験ツアーなどのマッチングサイトを運営する「Kammui」と提携。北海道でガイドからアイヌ民族の物語を聞きながら森を散策したり伝統の刺しゅうを体験したりするツアーや、沖縄でのカヌー体験など航空券と宿泊をセットにした商品を扱う。
 JTBと日航はさらなる普及に努めようと、4月に日本アドベンチャーツーリズム協議会と共同でアドベンチャーツーリズムアカデミーを創設した。