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日銀、国債評価損10兆円 23年度上半期 金利上昇で価格下落


日銀、国債評価損10兆円 23年度上半期 金利上昇で価格下落 日銀の保有国債の評価損益
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 日銀が28日公表した2023年度上半期決算で、保有する国債の評価損が9月末時点で10兆5千億円に上った。国債の時価が購入時の価格である簿価を下回る評価損が生じたのは22年度上半期から3半期連続で、過去最大となった。米国の利上げや日銀による金融緩和策の修正で金利が上昇し、市場で国債価格が下落したことが響いた。
 日銀は国債を満期で元本が償還されるまで保有することを前提にしているため、直ちに金融政策や運営に問題が生じるわけではない。しかし評価損は急増しており、このまま膨らみ続ければ財務の健全性に懸念が生じ、金融市場が不安定になるとの指摘もある。
 日本国債の金利は、22年に米国が継続的な利上げをしたことにつられる形で上昇。評価損益は22年9月末にマイナスに転じて8749億円に上り、23年3月末も1571億円の評価損だった。日銀が23年7月に長期金利の上限を0・5%から1%に引き上げる政策修正を行った影響で、評価損が急激に膨らんだ。
 日銀は金利上昇を抑える目的で国債を大量購入する金融緩和策を続けており、23年9月末の国債保有残高は簿価で22年9月末に比べ7・6%増の586兆8781億円と過去最大を更新した。