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受注者賃上げへ指針 政府 発注側の対応強く促す


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 政府は29日、受注側の中小企業が人件費を取引価格に転嫁できるようにするための指針を公表した。取引上、強い立場に立つことが多い発注側が協議に応じず価格を据え置く行為などは、独禁法が禁じる「優越的地位の乱用」に当たり、下請法にも抵触する恐れがあると明記。違反した場合は厳格に対応する方針で、発注側に対して価格交渉に応じるよう強く促し、受注側の賃上げにつなげたい考えだ。
 指針では、発注側と受注側が求められる行動として計12項目を提示した。具体的に、発注側の経営者に対しては、受注側の人件費の価格転嫁を認める方針を決めた上で、社内外に周知するよう要請した。受注先の企業から打診がなくても、定期的に価格交渉の協議を行うことも求めた。 
 さらには、受注側が最低賃金の上昇率や労使交渉の妥結額といった根拠に基づいて示した金額を尊重するよう促した。
 公正取引委員会は発注側がこうした指針を守らず、問題行為を確認した場合は独禁法と下請法に基づき厳正に対処する姿勢を明確にした。
 一方で受注側には、支援機関に相談するなど情報を集めた上で価格交渉に臨むことや、自ら希望金額を設定して提案することを求めた。発注側と受注側の双方には価格交渉記録の保管を求めた。
 公取委の藤本哲也事務総長は29日の記者会見で「中小企業が、人件費を適切に転嫁できるよう、取引環境を整備することが非常に重要だ」と述べた。