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補正予算 13兆円成立 政府 経済対策、年内始動


補正予算 13兆円成立 政府 経済対策、年内始動 2023年度補正予算の概要
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府の経済対策の実施に必要な財源の裏付けとなる2023年度補正予算が29日、参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。一般会計の歳出(支出)は13兆1992億円で、経済対策の「第1の柱」に掲げた低所得世帯への給付金やガソリン補助などの物価高対策に加え、企業の投資促進対策などで膨張した。予算成立に伴い経済対策は年内に始動するが、歳入(収入)の7割近くの8兆8750億円を国債の増発で賄う借金依存の財政運営が続く。
 歳出に計上した経済対策の関係経費は13兆1272億円。このうち「物価高対策」は2兆7363億円で全体の2割にとどまった。年内に始める方針の低所得世帯への7万円給付に1兆592億円、ガソリンなどの燃油価格や電気・都市ガス代を抑える補助金の追加に7948億円を充てる。
 金額が最大となるのは公共事業や防衛予算などの「国土強靱化(きょうじんか)」で、4兆2827億円と全体の3割を占めた。「国内投資促進」が3兆4375億円で続く。経済安全保障上の重要物資とされる半導体関連の支援に、特別会計分を含めて1兆8537億円を計上。中小企業の省力化投資補助といった「賃上げと地方の成長」や、「社会変革推進」にはそれぞれ1兆3千億円余りを充てた。
 採決では、与党の自民、公明両党のほか野党の日本維新の会と国民民主党などが賛成した。立憲民主党と共産党、れいわ新選組などは反対した。
 岸田政権が経済対策の目玉に掲げた所得税と住民税の減税は来年6月からの実施のため、今回の補正予算の枠外となる。24年度の税収減の要因となり、さらなる国債発行で財源を賄わなければならなくなる見通しだ。
 岸田文雄首相は補正予算成立後、記者団の取材に対し、所得税と住民税の減税に触れ「あらゆる政策を動員し、物価高を乗り越えるための賃上げ実現に向けて努力したい」と強調した。