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内部通報に対応、2割未満/公益通報者保護法 不祥事対応の遅れに


内部通報に対応、2割未満/公益通報者保護法 不祥事対応の遅れに 公益通報者保護法への企業の対応状況
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 公益通報者保護法で定められた通報窓口の整備などを済ませた企業が2割に満たないことが帝国データバンクの調査で1日、分かった。
 従業員数が300人を超える企業は窓口の設置が義務化されたが、対応が遅れている現状が浮き彫りとなった。内部通報をないがしろにすると不祥事への対応が遅れ、経営リスクにつながる恐れがある。
 調査は10月に実施し、全国の1万1506社が回答した。同法は消費者庁の所管で、内部通報者の解雇など不利益な取り扱いを禁止し、窓口など体制整備を求めている。
 調査では、法律の内容を「理解し、対応している」または「ある程度理解し、対応している」との回答が計19.7%だった。一方「言葉も知らない」(18.8%)を含め、対応していない企業は66.4%に上った。従業員301~千人の企業で対応済みは57.4%にとどまり、千人超は70.0%だった。
 消費者庁は9月、自動車保険の保険金を不正請求していた中古車販売大手ビッグモーター(東京)に対し、新たに整備した内部通報体制を適切に運用するよう行政指導した。同社は従業員の内部告発をもみ消していた。
 帝国データは「従業員が早く声を上げていれば、不祥事による被害の拡大を抑制できたケースが多い」としている。