有料

G7、AI初包括ルール デジタル相会合で合意


G7、AI初包括ルール デジタル相会合で合意 G7デジタル・技術相会合のポイント
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 先進7カ国(G7)は1日、オンラインでデジタル・技術相会合を開き、生成人工知能(AI)の包括的な対策を盛り込んだ初の国際ルールに合意した。ルールにはAI開発者や利用者といった「全ての関係者」の責務を定め、利用者には偽情報の拡散などリスクへの認識を高めた上で活用するよう促す。ルール作りは日本が主導する枠組み「広島AIプロセス」で議論してきた。今月上旬にも首脳会合をオンラインで開き、最終合意を目指す。
 会合に出席した鈴木淳司総務相は終了後に記者会見し、今回の合意について「課題の解決策の方向性を世界に示すことができた。大きな成果だ」と強調した。
 国際ルールは、AIの開発者や利用者など関係者を対象とする「指針」と、開発者が守るべき具体的な取り組みを示す「行動規範」からなる。開発者だけでなく、実際に利用する人にも責任があるとの認識から対象を幅広く設定した。
 指針は12項目あり、個人情報や知的財産を保護することや、利用者がAIの脆弱(ぜいじゃく)性を発見した場合に開発者などと情報を共有することを求める。
 開発者の行動規範では、偽情報拡散やプライバシー侵害のリスクを減らすため、開発段階で内部だけでなく第三者による検証を要求。AIが生成したコンテンツを識別するため「電子透かし」などの技術開発を進めることも盛り込んだ。このほか、偽情報対策のために各国政府や民間企業が連携して実証実験を進めていくことでも合意した。
 広島AIプロセスは5月のG7首脳会議(広島サミット)で発足した枠組み。ルールは今後、G7以外の国や企業などからも賛同を得ることを目指す。
 生成AI 利用者の指示で文章や画像、音声などを作り出す人工知能(AI)。米オープンAIが開発した対話型の「チャットGPT」が知られている。専門知識が必要なく、手軽に使えるため利用が急速に拡大している。企業の生産性向上など幅広い分野で活用を期待できる一方、偽情報を作成して拡散したり、知的財産権を侵害したりする懸念がある。