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政府、24年度薬価下げへ 国費最大1千億円圧縮


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 厚生労働省は1日、医薬品の市場での取引価格が、公定価格である薬価を6・0%下回ったとの調査結果を中央社会保険医療協議会で公表した。政府は医療機関の収入に当たる診療報酬の2024年度改定で薬価を市場価格に近づくよう引き下げ、高齢化による医療費の伸びを抑制する。最大で国費1千億円程度の圧縮につながる見通しだ。
 業者が病院や薬局などに販売する際の市場価格は、競争による値下げで公定価格よりも安くなる。診療報酬は薬価と、技術料などの「本体」で構成。薬価の具体的な下げ幅や本体の改定率は、月内に予算編成過程で決める。本体を巡っては、財務省が診療所のもうけが多いとして引き下げを求めているのに対し、日本医師会は医療従事者の賃上げを実現するため大幅増を訴えている。
 薬の費用は窓口負担と保険料負担、国費を含め総額約10兆円。公定価格と市場取引の差を縮めるルールを一律に適用すると仮定した場合、4千億円程度が圧縮される見込み。このうち国費は4分の1程度となる。実際の価格は原材料費の高騰なども考慮して決める。
 調査は今年9月の取引分が対象。薬の公定価格はこれまでも引き下げが続いている。公定価格と市場価格の差は22年の前回調査は7・0%、前々回21年は7・6%。近年は毎年改定されており、引き下げが続いたことで差が縮小したとみられる。
 本体も含めた改定は2年に1度行い、前回は22年度だった。22年度は薬価引き下げにより国費を約1600億円圧縮した。