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賃金「男の32倍」/500人企業に管理職2200人 専門家 「不正確だと見切られる」


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 政府の「女性の活躍推進企業データベース」で、女性幹部比率を含めさまざまな誤記が見つかった。女性の賃金が男性の32倍と申告したり、企業規模が500人以下なのに2200人近くの管理職が在籍すると入力したりした事例があった。
 小売業を営むある徳島の企業は今年10月末時点で、全労働者の男女賃金格差は3233・8%だと登録していた。共同通信の取材で誤りを認め、11月末時点では68・9%と修正された。当初の登録と異なり、女性の賃金は男性の7割に満たないことになる。担当者は「前任者の引き継ぎ通りに計算したつもりだった」と釈明した。
 一方、34・5%と掲載した大阪市の通信会社は、低いのではないかとの指摘に対して実際は76・2%だったと改めた。
 有力企業も間違えた。川崎重工業は有価証券報告書で示した男女賃金格差の比率と微妙に異なっており、問い合わせたところデータベースの方が間違いだと回答した。
 東京都のサービス業の会社は企業規模を500人以下で登録していたが、管理職の男女合計の人数は2197人と申告。広島県の社会福祉法人は、企業規模が千人以下で、管理職は2333人だと記入。東邦銀行(福島市)は役員全体が11人、うち女性は24人と表示していた。
 パーソル総合研究所の小林祐児上席主任研究員は「あまりに不正確だと『見てもしょうがない』と見切られてしまう」とデータベースの信頼性低下を危ぶむ。「賃金差異が数十倍といった明らかに不自然な数字には、運営側がきちんと対応すべきだ」とチェック体制の強化を呼びかけた。