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女性活躍サイト 誤記500件 政府運営 幹部比率や賃金格差 掲載増優先、確認後回し


女性活躍サイト 誤記500件 政府運営 幹部比率や賃金格差 掲載増優先、確認後回し 「女性の活躍推進企業データベース」のトップページ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府運営サイト「女性の活躍推進企業データベース」で、少なくとも500件超の誤記があることが2日、共同通信の調査で分かった。企業の女性幹部比率や男女賃金格差など重要指標で誤りがあった。企業の誤入力と運営側のチェック不足が要因。掲載増を優先して正確性を後回しにした格好で、政府も責任を認めた。真剣に勤め先を探す就活生や求職者にとって参考になるはずの公的情報の信頼性が揺らいでいる。早急なサイト改善などが求められそうだ。
 沖縄県は誤記が係長級で1件、管理職で3件あった。
 サイトは厚生労働省が2016年、企業のジェンダー平等に向けた取り組みの情報を集約しようと開設した。特に重視される女性管理職比率は11月末時点で1万4千社超が登録し、インフラとして定着しつつある。
 データベースでは係長級、管理職、役員の3項目に関してそれぞれの「女性比率(%)」、「女性の人数」、「男女合計の人数」を企業が手で入力する。共同通信が企業が申告した人数を基に合計約3万件の女性比率を改めて計算したところ、企業側が申告した比率と10ポイント以上ずれている事例が全部で563件あった。
 内訳は係長級で176件、管理職で240件、役員で147件だった。加えて男女合計の人数より女性の数が多いといった誤りや明らかに不自然な数字があった。
 管理職比率が10ポイント以上ずれていた企業は全体の1・7%。会社の規模別では「10人未満」で10・5%が間違えていたのに対し「5001人以上」はゼロで、小規模な企業の誤りが目立った。都道府県別は明確な傾向は見られないが、香川県などは誤記が少なかった。
 ある千葉県の小売店は全管理職が42人、うち女性が2人と入力。人数を基に計算すれば女性管理職比率は4・8%(4・76%を四捨五入)となるが、この小売店は47・6%と申告していた。
 厚労省の担当者は企業の入力ミスだと説明する一方、入力数字をチェックする仕組みが整っておらず「責任がゼロとは言えない」と認めた。「企業に正しく入力してもらうよう働きかける。入力画面の工夫を一層進める」と語った。
 男女賃金格差でも複数の企業が共同通信の取材に誤記を認めた。
 大和総研の中澪研究員は「算出方法を分かっていない企業もある」と指摘。正確性向上に向け「企業への分かりやすい周知とデータベースの改善が必要だ」と訴えた。
「女性の活躍推進企業データベース」のトップページ
 ▽調査の方法 政府運営サイト「女性の活躍推進企業データベース」は、データを全量取り込むことができる。共同通信は11月30日時点の情報を全量取得し(1)係長級(2)管理職(3)役員―のそれぞれの項目について「女性比率(%)」「女性の人数」「男女合計の人数」の全てを入力した企業を抽出した。全てにゼロの数字を入れた企業は除外した。
 抽出した企業について、女性の人数を男女合計の人数で割り、100を掛けて百分率にした。計算結果と企業が入力していた女性比率を比較し、両者の隔たりが10ポイント以上の場合を明らかな誤記と認めた。女性の人数が男女合計の人数よりも多いといったケースも誤りとした。
 係長級、管理職、役員のそれぞれで算出した誤記率は、誤記件数を分子、抽出した企業を分母に置いて計算した。