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減税繰り越し2~4年 赤字中小 賃上げ税制対象に


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府、与党が法人税を納めていない赤字の中小企業も賃上げ税制の対象とする制度の創設を巡り、将来の黒字を見込んで減税する権利を繰り越せる期間を2~4年とする案を軸に検討していることが6日、分かった。事後的に法人税減税の恩恵が及ぶようにすることで、業績が厳しい中でも賃上げをしやすい環境を整える。与党の税制調査会で詳細を詰め、2024年度税制改正大綱に反映させる。
 中小企業の賃上げ税制の拡充方針は、政府が11月にまとめた経済対策で打ち出した。現行の賃上げ税制では、中小企業などが賃上げを実施した決算期が赤字だったり、繰越欠損金があったりして法人税を納めていない場合は減税対象とならないが、中小企業の約6割は法人税を納めていないため、恩恵が及ばないことが問題視されていた。
 論点となる繰り越しの期間に関しては、東日本大震災後に被災地の雇用に寄与すると指定を受けた企業が機械や建物などを取得した際の法人税減税でも、減税額がその年度の上限を超えた場合に権利を繰り越しできる期間を4年としていたことを考慮。赤字の中小企業に早期の黒字化を促す観点もあり、政府、与党は2~4年の案を軸に議論を進めることにした。